北朝鮮軍大佐を「見せしめ」公開処刑…禁断の”楽しみ”発覚

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北朝鮮の朝鮮労働党組織指導部と軍事部は、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の第3軍団と第8軍団で、思想統制を担当する保衛・政治軍官(将校)を対象にした検閲(監査)を2月15日まで行っていた。

その翌日からは朝鮮人民軍連合指揮部が、軍官の自宅に対する抜き打ちの検閲を行った。その結果を受けて、50代の軍官が処刑された。彼を死に追いやった犯罪行為は、「韓流を見た」ということだった。

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処刑されたのは、平壌郊外の南浦(ナムポ)に駐屯する第3軍団の指揮部で、後方部(補給担当部署)の部長を務めていた50代前半のキム大佐だ。デイリーNKの軍内部情報筋によると、キム大佐は、自宅に韓国のドラマやバラエティ番組のファイルが保存されたUSBメモリを隠し持っていたが、組織指導部などによる検閲はうまくやり過ごした。

しかし、その後の軍連合指揮部の抜き打ち検査で、USBメモリが発見された。逮捕された彼は、取り調べで韓流を楽しんでいたことを自白した。

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逮捕から数日後の22日、軍団の訓練場の射撃場で、指揮部の軍官、兵士が見守る中で公開銃殺された。妻と2人の息子は管理所(政治犯収容所)送りとなり、家と財産はすべて没収された。

通常なら当局は、妻に対して離婚という選択肢と考える時間を与える。つまり、政治犯となった夫と縁を切ることで、自分と家族の身を守ることを許すというものだが、妻が離婚を拒否したのか、選択肢を与えず無条件で管理所送りにしたのかについて、情報筋は触れていない。

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昨年12月4日の最高人民会議常任委員会第14期第12回総会で採択された「反動的思想・文化排撃法」は、韓流ドラマ、映画、K-POP、ラジオ放送など韓国を含めた海外の文化コンテンツや、アダルトビデオ(AV)の視聴、販売など、当局が「反社会主義、非社会主義」と見なす行為をターゲットにしたものだが、今回の銃殺に法が適用されたのなら、確認された中で初の処刑事例だ。

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この法は、海外コンテンツを大規模に流布、流通させた者を死刑に処すと定めているが、大佐がそのような行為を行ったかは確認されていない。しかし、軍当局は「帝国主義反動に同調する利敵行為を行った逆賊」と、反党反革命分子との烙印を押し処刑に踏み切った。

これは、軍が北朝鮮における「最大の韓流消費者」とも言うべき状態にあることと関係するだろう。人里離れた駐屯地で勤務する朝鮮人民軍の軍官、兵士は、外部の監視を受けることなく韓流を楽しんでいると言われているが、軍団の幹部を公開銃殺することで「見せしめ」とし、恐怖心を与え抑止効果を狙うという、北朝鮮がよく使う手法を使ったものと思われる。

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また、軍の規律の確立を強調した金正恩総書記の、朝鮮労働党中央軍事委員会第8期第1回拡大会議での発言が影響していることも考えられる。

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情報筋は、戦争の準備完成を強調している状況で、軍が南朝鮮(韓国)に対する幻想を持つことへの警告の意味合いがあったとした上で、兵役の期間が男性9〜10年から7〜8年、女性6〜7年から5年に短縮されたことを挙げ、これに対する反発を抑える意図もあったと思われると述べた。

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一方、軍の非社会主義検閲(風紀取り締まり)連合指揮部は、「全軍的な反社会主義、非社会主義闘争と、軍の規律を確立する事業は、社会主義の前哨戦を守護し、祖国の運命と人民の安寧を守るための重大な闘争」と強調している。また、第3軍団の内部では「外部流入物の流布と視聴は悪の中の悪」とし、「これを機会に乱れきった軍の規律を立て直す」と宣伝煽動事業を強化しているとのことだ。