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北朝鮮は、未だに国内での新型コロナウイルス感染者の発生を公式に認めていない。

その一方で、コロナ集団感染を疑わせる事態が各地から報告されている。ただ、疑わしい症状を見せる人を手当たりしだいに隔離する手法を使っている上に、他の伝染病も蔓延していることから、実際の感染状況は闇の中だ。

(参考記事:北朝鮮軍で4000人死亡…金正恩の「コロナ対策」崩壊か

今月から新型コロナウイルスの超特級防疫措置の一環として、地域間の移動統制を始めた。

デイリーNKの内部情報筋によると、今月1日から2月20日までの50日間、全国に移動禁止措置が下された。先月29日の朝鮮労働党中央委員会が第7期第21回政治局拡大会議で内部的に決定し、翌日に指示を下したものだ。

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北朝鮮では来年1月、朝鮮労働党第8回大会が予定されており、それに向けた最終的な引き締め措置で、冬季にはウイルスの拡散がさらに広がることを見据えてのものだという。また、春からの農業、建設、教育、経済などの各部門で新たな気持ちで始めようという意味合いも込められている。

国営の朝鮮中央放送は2日、「超特級非常防疫措置を復活させることに合わせて、中央非常防疫部門では、非常防疫の規律と秩序を徹底して厳守するよう強い対策を取っている」「地域間の人の移動を極力制限し、一部奉仕単位の活動を暫定的に中断した」と報じた。

北朝鮮の非常防疫法は、感染症の感染拡大のスピードとリスクに応じて、1級、特級、超特級の3段階に分けられ、超特級では地上、海上、空中などすべての空間を封鎖し、人の集まりや学校への登校を中止とする。

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ただし、今回の指示はあくまでも地域間の移動の禁止で、国から承認を受けた人、9000台列車運行、現在行われている大増産運動「80日戦闘」や、軍需産業に必要な石炭、材木などの物資の輸送は通常通り行われているとのことだ。

9000台列車とは、国の承認を受けた人や物資を運ぶ列車を差す。ちなみに、大規模政治行事など国の必要に応じて人や物資を運ぶ列車は10000台列車と呼ばれる。

道路インフラが整っていない北朝鮮では、鉄道が重要な輸送手段で、国の経済の象徴的な存在でもあるため、たとえどんな状況であっても、止めるわけにはいかないのだ。

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情報筋は、実際に承認を受けて他の地方と行き来している人がいるとし、平安北道(ピョンアンブクト)の別の情報筋も、今月14日に幹部が新義州(シニジュ)から両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)まで鉄道を使って行ってきたと伝えた。

また、市内の公共交通機関は運行されており、他の地域に向かうポリバス(民間人が運営するバス)は運行回数は減っているが、旅行証(国内用パスポート)さえあれば利用が可能だ。

北朝鮮では、各道の境界線ごとに哨所(チェックポイント)が存在し、移動の統制を行っているが、それが強化されているとのことだ。同じ市、郡の中での移動には問題ないが、他の地域には行けないということだ。

両江道、咸鏡北道(ハムギョンブクト)、慈江道(チャガンド)で下されていた事実上の外出禁止令ほど厳しいものではないということで、今年初頭から行われていた移動制限と同じようなレベルのものと思われる。

(参考記事:コロナで外出禁止令、困窮の度合い増す北朝鮮国民