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8日午前に行われた朝鮮労働党中央軍事委員会第7期第6回拡大会議では、台風9号(メイサーク)により、北朝鮮最大の亜鉛の産地、咸鏡南道(ハムギョンナムド)端川(タンチョン)市の検徳(コムドク)鉱山で多くの被害が発生したことが報告された。

初歩的に掌握された資料によると、検徳鉱業連合企業所と大興青年英雄鉱山、龍陽鉱山、ペクパイ鉱山で2000余世帯の家屋と数十棟の公共建物が破壊したり、浸水したりし、45カ所に6万メートルの道路が流失し、59の橋梁が破壊され、31カ所に3500余メートル区間の線路路盤と2カ所に1130余メートルのレールが流失するなど交通が完全に麻痺する非常事態に直面するようになったし、検徳鉱業連合企業所の沈殿池のダムが破壊され、数多くの設備が流失するなど莫大な被害を受けた。(朝鮮中央通信9日付より)

(参考記事:「台風復旧は祖国防衛、人民防衛」金正恩氏、党軍事委で強調

現地のデイリーNK内部情報筋は、検徳鉱山における被害の詳細を伝えた。

台風接近前、鉱山のイルクン(幹部)と労働者は、朝鮮労働党検徳鉱山委員会に対して、台風の危険性を説明し、すべての設備と労働者を撤収させるべきと提言した。情報筋は触れていないが、以前にも同様の被害があったようだ。しかし、経験の少ない党委員長はその意見に耳を傾けることなく一蹴した。

ところが、イルクンや労働者が危惧した通りの状況となった。

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台風上陸の当日、2005年に完成した垂直坑など坑道すべてが浸水。

17垂直坑のゴンドラのケーブルが切れ、作業に当たっていた47歳の副坑長のリさんら6人が、雨水がたまり始めた坑道に閉じ込められ死亡した。彼らの救出に向かった坑道の小隊員5人は、崩落した坑道の下敷きとなり、一命はとりとめたものの、搬送先の咸興(ハムン)整形外科で、足と腕の切断を余儀なくされた。

18垂直坑では、勤務時間が終わり坑道の外に出ようとしていた11人が土砂の下敷きとなり、行方不明になっている。救出作業は難航している模様だ。人的被害に加えて、採掘や運搬の設備も土砂に流されたり浸水したりするなど、設備の被害も甚大なものとなった。

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情報筋は「今のところわかっている事故は一部分に過ぎず、企業所はあまりの事態に恐れをなし、全体の数字は表に出していない。鉱山のイルクンは、自主的に収拾できる状況になく、党に報告した」と伝えた。

国営の朝鮮中央通信は6日、政務局拡大会議で、朝鮮労働党咸鏡南道委員会の金成日(キム・ソンイル)委員長を解任し、後任に党中央委員会組織指導部の副部長を任命したと報じた。

(参考記事:「海岸地帯の安全対策に不備」金正恩氏、台風9号の被災地視察

情報筋は、解任の理由が検徳鉱山の被害にあると説明したが、同時に、金氏は非常に評判の良い人だったとも伝えた。

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鉱山の事情に精通し、親身になって問題解決にあたるなど労働現場に高い関心を寄せ、現場の幹部も住民も、大きな信頼を寄せていた。それだけあって、「ここまでの大事故はさすがに予想外だったのだろう」と残念がった。

取り返しのつかない判断ミスを犯した鉱山の党委員長の処遇には触れていないが、道のトップがクビになった以上、無事ではいられないだろう。

鉱山の復旧には少なくとも3ヶ月はかかるものと見られ、犠牲者に対する補償が進められているとのことだ。鉱山のイルクン、労働者、地元の住民のすべてが、あまりの被害に立ち上がる力もなく、お先真っ暗だという。

同じ咸鏡南道では、端川から南西に約70キロ離れた新浦(シンポ)でも、台風により漁船が流されるなどして30人以上が死亡したり行方不明となっている。

(参考記事:台風9号で北朝鮮漁港に深刻な被害、死者・行方不明者30人以上