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北朝鮮の社会主義憲法第11条は、次のように定めている。

朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮労働党の領導(指導)の下にすべての活動を行う。

国の全てにおいて指導的役割を果たす朝鮮労働党への入党は、出世するにあたっての絶対条件だ。どれほど実力があっても、党員でなければ必ず天井にぶち当たってしまう。それなら、と思って入ろうにも、そう簡単にはいかない。

朝鮮労働党の規約によると、入党を希望する者は入党請願書と党員や青年同盟員2人の入党保証書を提出し、審査を受ける。認められれば見習いにあたる候補党員となり、問題がなければ1年後に正式な党員として迎えられる。

「エリートへの切符」を得るには、勤め先の党委員会の実力者にワイロを送ることが求められる。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の女性兵士などは、入党と引き換えに「マダラス」と呼ばれる性上納を強いられることすらある。

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(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

このほど、軍人の入党に関する規則が改正され、以前より難しくなったのだが、意外にも強い反発は起きていないという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の軍関係者によると、軍の総政治局は先月末、軍人の入党資格に関する新たな規則を発表した。その内容とは、候補党員の期間を1年から3年に延長するというものだ。

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新しい規則の狙いについて情報筋は、党の末端組織にあたる党細胞の役割強化にあると説明した。

詳しく説明するとこういうことだ。今までは、兵役満了の1〜2年前に入党の申請をするもので、1個中隊に10数人程度の党員がいた。それが、候補党員の期間を考えると少なくとも3年前に申請をしなければならなくなった。そうなれば、単純に党員の数が増えるが、それにより党細胞の役割が強化されるというものだ。

一方で、忠誠心が強く、勤務態度が真面目という入党条件を加えたことで、狙い通りに党員が増えない可能性も考えられる。

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今回の規則改正について、両江道(リャンガンド)の軍関係者が反応を伝えている。

候補党員になれば、正式な党員として認められるまでやるべき義務、従うべき規則が生じるが、その期間が3年に伸びたことでウンザリするという反応がある一方で、入党に興味を持たない軍人が増えたこともあって、かつてなら起こったであろう強い反発が起きていないというのだ。

「今や軍人も、民間人の若者のように、党員になるよりは、経済的に余裕のある生活を望んでいる。兵役を無事に終えて故郷に戻り、商売してカネ儲けをすることにしか関心がない」

党員になれば、面倒な「党生活」に縛り付けられる。収入の2%を党費として納め、政治学習会、講演会に出席し、毎日の生活総和(総括)を行なうというものだ。何よりも問題は、自由に商売ができないことだ。

また、国の機関の傘下にある貿易会社や、トンジュ(金主、新興富裕層)が経営する企業が労働党員を雇うことは処罰の対象だ。それをもみ消すには多額のワイロが必要となる。そこまでして雇っても党生活で会社を留守にすることが多い。「面倒」との理由で解雇された事例すらある。

(参考記事:北朝鮮「性上納」で出世してもお先真っ暗…労働党員もクビ

下手に経済活動を行って、取り締まりで摘発されでもしたら、出党(除籍)処分を受けるだけでなく、当局の監視対象になりかねない。コツコツ真面目に党生活をするよりは、商売で稼ぎ、儲けたカネを「忠誠の資金」としてお上に差し出した方がよっぽど認められる社会になってしまったのだ。

(関連記事:朝鮮労働党員はエリートも今は昔…「結婚するなら党員じゃなくて金持ち」