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北朝鮮の建国の父、金日成主席。元々は金成柱(キム・ソンジュ)という名前だったが、後に改名した。回顧録「世紀とともに」によると、抗日パルチザン活動を行っていた時代に、同志たちから「一星(イルソン)」「日成(同)」などと呼ばれるようになったらしい。ただ、本人はあまり乗り気ではなかったようだ。以下、回顧録の本文より一部を抜粋する。

わたしは父が命名した本名を大切にしていたので、ほかの名で呼ばれるのが気に入らなかった。ことに若年のわたしを星や太陽になぞらえ、おしたてることを容認したくなかった。

しかし、いくらきびしく取り締まっても、説得しても無駄だった。同志たちは、わたしが喜ばないことを知りながらも、「金日成」と呼ぶのを好んでいた。

金日成氏は、1994年に亡くなった後から頻繁に「民族の太陽」と呼ばれるようになったが、その由来はここにあるようだ。朝鮮民族の歴史で初めて登場した太陽というわけだ。

太陽だけあって、常に輝いていなければならない。そのため、北朝鮮各地にある金日成氏の銅像は、ライトアップされている。電力事情が悪く、長期間の停電も頻繁に起こるが、それでも銅像への電力供給は最優先で行われる。

(参考記事:北朝鮮「金日成銅像の照明守れ!」電源確保に命をかける人々

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いかなる理由があれ、消えるだけで「大事件」となる照明が、消えてしまう出来事があった。

江原道(カンウォンド)のデイリーNK内部情報筋によると、事件が起きたのは金日成主席の26周忌を翌日に控えた今月7日の午前0時のこと。

元山(ウォンサン)市内中心部にある金日成氏の銅像の照明が突如として消えてしまった。銅像の警備に駆り出されていた人たちは、「まさか」と思いしばらく待っていたが、30分待っても照明が消えたままで、おかしいと思い保衛部(秘密警察)と銅像管理所に通報した。

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朝鮮労働党元山市委員会の史跡担当イルクン(幹部)、銅像管理所、送配電所のイルクン、保衛部、安全部(警察局)の要員が慌てて集まったのは午前2時。照明が消えてしまった原因の究明に乗り出したが、どうしてもわからず、結局別の電源を使用することにした。照明が元に戻ったのは午前5時だった。

ちなみに、元山から南東に140キロ離れた韓国の束草の当日の日の出の時刻は午前5時9分。照明が再び銅像を明るく照らし始めたころには、元山の空も既に明るくなっていたに違いない。

夜が明けてから、電気配線の点検を行った結果、漏電による停電であるとの結論に達した。しかし、事は単なる停電ではなく、金日成氏の銅像にかかわることだ。もしバレれば政治的に大問題となるため、「誰も口外してはならない」ときつく口止めしたという。

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ところが、たった1日で元山市内に「銅像の照明が消えた」という噂が広まってしまった。また、原因についても様々な憶測が飛び交う事態となった。その一つが「反動分子が電線を切った」というものだ。

2018年9月、両江道(リャンガンド)の金亨稷(キムヒョンジク)郡でも、銅像の照明が消える「事件」が起きているが、電線が何者かによってペンチで切断されたことが原因だった。つまり、意図的な破壊行為ということもありえないわけではない。

(参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

ただ、より現実的なものは「雨が降った後に(照明が)点滅することがあった、施設補修をいい加減にした銅像管理所のイルクンの責任だ」というものだろう。

保衛部と安全部は合同で密かに捜査を行っているが、まだ結果は出ていないようだ。「もしこの件が首領様の逝去日である8日に起きたとしたら、責任イルクンは解任、撤職(更迭)されるなど大事件になっていたはず」と情報筋が語っていることから、担当者が責任を取らされることとなっても、重罰は免れるかもしれない。

(参考記事:金正恩氏「祖母の聖地」で半殺し暴力沙汰