北朝鮮「私的蓄財」で一斉摘発…大粛清に震える富裕層たち

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北朝鮮当局は、国境地帯における国際通話、密輸、脱北、送金仲介など、当局が違法と定めた行為に対する厳しい検閲(監査)を行っているが、国内有数の鉄鉱山を擁する咸鏡北道(ハムギョンブクト)の茂山(ムサン)では、地方政府の幹部や、トンジュ(金主、新興富裕層)が摘発されたと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

茂山鉱山のある幹部は、国家保衛省(秘密警察)の検閲で「私的に蓄財していた」容疑で摘発され、出党(朝鮮労働党からの除名)、徹職(更迭)処分を受けた上で、財産の一部を没収された。同様に処罰を受けた幹部は郡内だけで3人で、個人名義で所有していた乗用車も没収された。

北朝鮮で乗用車の個人所有は許されていないが、機関、工場、企業所の名義を借りて登録する手法が横行しており、取り締まりが強化されている。

(参考記事:北朝鮮が自動車の「個人所有」に対する摘発を強化

また、国家保衛省は先月中間検閲総和(中間報告)を行った上で、幹部以外の摘発にも乗り出した。

(参考記事:「幹部19人処刑の現場」生々しい恐怖に震える北朝鮮国民

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鉄鉱石を扱い強大な権力を持っていた貿易会社の関係者、トンジュ、密輸業者、中国キャリアの携帯電話のレンタル業を営んでいた業者など数十人だ。年末に行われる最終総和では、さらに多くの人が処罰の対象になるものと情報筋は見ており、身に覚えのある人々は恐怖に震えているという。

かつて鉱山都市として賑わっていた茂山だが、国連安全保障理事会の制裁決議で鉄鉱石の輸出ができなくなってしまった。鉱山の操業はとぎれとぎれになり、労働者の給料は遅配。多くの労働者がヤマを去り、中には子どもを棄てる者も現れるほどの状況となった。

(参考記事:餓死、捨て子、孤立…北朝鮮きっての「金持ち地域」が没落

そんな中でも贅沢三昧の生活をしていた幹部らの摘発に、地元では「胸が清々した」との高評価の声が聞かれるという。

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「権力と財力を振り回していた彼らが、検閲で処罰されるのは当然だ。幹部だからといって、金が少しあるからといって、一般庶民をバカにしていたことを後悔するほど、底辺からやり直させられるべきだ」(地元住民)

ただ、小さな商売一つするにあたっても、違法行為は避けて通れないのが北朝鮮の現実だ。同様の取り締まりが庶民に対して行われることも考えられる。また、多額の資産が平壌に持ち去られたことで、地元経済にも少なからぬ影響が出るだろう。そう笑ってばかりいられないのだ。