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北朝鮮随一の科学研究施設で、事故が発生し、実験に携わっていた教授が死亡したという。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、事故が起きたのは咸興(ハムン)にある国家科学院の咸興分院だ。

国家科学院は、1952年10月に設立された北朝鮮最高の科学研究機関で、核兵器開発に携わっていることで知られている。

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分子生物学研究所の第1副所長を勤める50代の教授は先月初め、分子生物学の実験工場で何らかの実験を行っていた。この教授は、分子生物学で多くの業績を上げた「1号接見者」だった。

これは、最高指導者に直接会った経験を持つ人のことを指す。万が一の事態を防ぐために、最高指導者に会う人は思想、活動、家族などを徹底的に調べ上げられる。逆に言うと、国からお墨付きを得た「問題のない人物」ということになる。

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ちなみにこの教授が会ったことがあるのは、金正日総書記の方だという。一方の金正恩党委員長からは特別なミッションを下され、その実験に邁進していた。

(参考記事:北朝鮮警察官、労働者と勘違いし代議員殴り懲役刑

ところが、そんな教授が実験工場の床に倒れて死亡しているのが発見された。事件はすぐに中央に報告され、秘密警察である国家保衛省と咸鏡南道保衛局、咸興市安全部(警察本部)捜査課の人員からなる合同捜査チームが立ち上げられた。

同僚の研究者5人は、捜査官の調べに、事件前日の夜、教授は「一人でやることがある」と言って、他の研究者を帰らせたと証言した。

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一方で、教授の遺体の解剖の結果、死因は過労による心臓破裂であるとの結論が出された。しかし、内部の研究者からは「強い毒性を持ったガスによる心臓破裂と心臓麻痺が解剖の結果」だとする証言を聞いたと、情報筋は伝えている。

つまり、金正恩氏から与えられたミッションとは毒ガスの研究で、同僚にも知らせずに一人で行っていたが、事故でガスを吸い込んでしまい亡くなった疑いがあるということのようだ。

保衛部は、研究者とその家族を集めて、死因や実験内容について一切外部に漏らすなと通告した。一般の犯罪であっても、世間一般に知れ渡ると社会が動揺するとして、かん口令を敷くのが北朝鮮の常だが、今回は「毒ガス実験」の噂があるだけに、いっそう知られたくないのだろう。

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ただ、北朝鮮の口コミネットワークの波及力は強く、事件のことが知れ渡るのは時間の問題だ。金正恩氏の兄、金正男氏が神経剤を使って殺害された件も、当局が伏せようとしたにもかかわらず、口コミで広がってしまった。

(参考記事:金正男氏の「殺害情報」を広める「情報通の奥様」たち

ちなみに北朝鮮は、化学兵器の開発・生産・貯蔵・使用を全面的に禁止し、廃棄を義務付けた化学兵器禁止条約に署名していない。