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北朝鮮では新型コロナウイルへの対策として、国境封鎖に加えて感染が疑われる人の2週間の隔離(後に40日に延長)が行われている。

その数は少なくとも7000人に及んだが、一部で解除が始まり、北朝鮮国民からは早期の収束を期待する声が聞こえると、咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:7000人以上に達していた北朝鮮の隔離、一部で解除

最大都市の咸興(ハムン)では、消毒薬を車や人が散布する作業が続いている。非常防疫指揮部が人員を増やして1人あたりの作業量は減ったものの、昼食は現場で済ませる状況だ。この消毒薬は、平壌のある病院から供給されたものだ。

市内では旅館、便宜奉仕管理所(サービス業)、駅前、朝鮮労働党や人民委員会(市役所)の庁舎など、人が多く集まるところを1日おきに消毒している。また、一部の工場や機関は防疫指揮部から消毒薬を受け取り、自主的に消毒を行っている。地方政府や党の幹部は、地域から感染者が出ると処罰されるため、念には念を入れて消毒を行っているというが、このような厳罰主義が隠蔽を生んでいることも事実だ。

咸興では感染者の発生は報告されていないが、咳、発熱などの新型コロナウイルス感染を疑われる症状のある人は、自宅で隔離され、症状が4日以上続けば地域の隔離病棟に移送される。

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市民の間からは「1ヶ月もすれば伝染病の事態が収束するのではないか」と期待する声が上がっている。

一方で、この隔離を巡っては、隔離された本人に費用を負担させていることへの不満の声が上がっていると、米政府系のラジオフリーアジア(RFA)の中国・丹東の情報筋が伝えている。

川向うの北朝鮮の新義州(シニジュ)に住む親戚と毎日電話で話し、現地の状況を聞いているというこの情報筋によると、市内で発生した新型コロナウイルスを疑われる人は、農村にある施設に隔離されている。

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施設も食事も非常に貧弱で、電気がないため日が暮れると寝るしかなく、1日3食の食事は提供されるが、大根の葉にトウモロコシとコメが少し入ったクッパばかり出されるという。それなのに1泊あたり5元(約75円)の費用が徴収される。

「隔離された場所は電気もなく、ろうそくの明かりで夕食を取り、すぐに寝床につく日常を繰り返している。隔離生活とは言うが、教化所(刑務所)での生活と変わらない」(丹東の別の情報筋)

1月20日頃から始まった隔離だが、今月11日になってようやく段階的に解除が始まると情報筋は伝えている。隔離期間が50日と計算すると、1人が徴収される費用はコメ100キロ分に相当する250元(約3700円)にもなる。

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北朝鮮は、2014年にアフリカでエボラ出血熱の感染が拡大したことを受け、入国者をホテルに隔離する措置を取ったが、このときもホテルの宿泊費を隔離対象者から強制徴収し、ひんしゅくを買っている。

(参考記事:「エボラでぼったくり」北朝鮮当局が隔離した住民から滞在費を強制徴収

RFAの丹東の別の情報筋は、新義州市民の間では次のような噂が流れていると伝えた。

「2人の市民が2月末に密かに隔離場所を抜け出し、友人の誕生パーティに行ったことが摘発され、銃殺された」

韓国の東亜日報のチュ・ソンハ記者は、新義州にある平安北道保安局(県警本部)の幹部が、隔離された友人に会いに行き、制止しようとした警備担当者とトラブルになり、規則違反で2月16日に処刑されたと報じている。市民の間で流れている噂とこの話が同一事案なのかは不明だが、疑心暗鬼が広がっていることには違いないだろう。

(参考記事:北朝鮮、感染者を処刑か…金正恩式「新型コロナ対策」の冷酷無比