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日本では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マスクや消毒用のアルコールなどが手に入りにくい状態が続いている。菅官房長官は先月12日の記者会見で「1月28日に(マスク)の増産を(メーカーに)要請した」と発言し、同月26日の衆議院予算委員会でもマスクの増産を要請していると発言しているが、いまだ市中ではマスクの販売を見かけることはない。

「わが国に新型コロナウイルス感染者はいない」と言い張り続けている北朝鮮だが、医薬品の不足は感染の有無とは関係なく常時起き続けてきた。「無償医療」を誇る北朝鮮だが、実際は病院に行っても医薬品はなく、市場で買ったものを持参し、医師にワイロを支払わなければ治療が受けられない。また、医師も薬草や小麦粉で薬を作ったり、患者は薬の代用品として覚せい剤を使う有様だ。

(参考記事:北朝鮮「市場で薬を売るな」が引き起こす医薬品不足

このような状況は、新型コロナウイルス対策が呼びかけられている現在も変わりない。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、道内の端川(タンチョン)市内の職場や人民班(町内会)では、ウイルス拡散を防ぐために防疫担当者による教養・宣伝事業が毎日行われていると伝えた。その場で強調されたのは、ウイルスは暖かくなれば不活性化するので、今後1ヶ月の個人衛生と検疫が重要だ、指示に徹底的に服従せよということだ。

労働者からは「消毒用品が必要だ」との声が上がったが、それに対して防疫担当者はこんな発言をした。

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「塩を充分に摂取すれば伝染病の予防に助けになる。手や口の中の消毒は塩水を活用すればよい」

当局者自らが医薬品が足りていないことを認めた形だ。

世界保健機関(WHO)が推奨している予防法は、石鹸、水、アルコールを使って手を洗う、咳やくしゃみをしている人とは1メートルの距離を置く、目、鼻、口を触らない、咳やくしゃみをするときはティッシュや肘で口と鼻を覆う、発熱、咳、呼吸困難の場合には医療機関に連絡して指示を仰ぐ、などで、塩が有効だとしている内容はない。

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ちなみに、「うがいをするときは塩水を使えばいい」というのはエビデンスの不確かなもので、新型コロナウイルスの感染予防に役立つという裏付けはない。

住民に対しては、もし高熱、咳などの症状があればすぐに地域の防疫担当者に症状を知らせるように呼びかけられた。防疫担当者は、病院に検査を依頼し、帳簿を作成して患者の管理を行い、毎朝人民委員会(市役所)と保安署(警察署)に報告することになっている。

防疫担当者は「元帥様(金正恩党委員長)はわが国人民の生命を守るために、伝染病問題に非常に心配しており、寝る間も惜しんで対策を立てていらっしゃる、元帥様の恩を忘れずに、われわれが守るべき道理を守ろう」という、よくある常套句で締めくくった。

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北朝鮮は、新型コロナウイルスの感染が疑われる7000人を隔離しているが、今のところ「感染者はいない」と繰り返すばかりだ。

WHOの緊急対応チームのディレクター、マイケル・ライアン氏は5日の記者会見で北朝鮮について、発病地域の中心にあり危険だが、依然として感染確定の報告はないと述べている。また、平壌事務所の職員と通じて北朝鮮当局と接触を行っており、もし感染が確認されればいつでも入国する用意ができているとも述べた。

(参考記事:隔離するだけで費用は本人負担、北朝鮮の新型コロナ対策