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新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、安倍晋三総理が27日に発した「全国小中高校の臨時休校」の要請が波紋を広げているが、「わが国に新型コロナウイルス感染者は発生していない」と繰り返している北朝鮮当局も、拡散防止対策として冬休みの延長、つまり事実上の休校命令を下した。

北朝鮮国営の朝鮮中央放送は27日、ウイルス拡散を防ぐために全国の幼稚園と学校の冬休みを延長したと報じた。通常、冬休みは幼稚園と小中高校は12月中旬から2月中旬まで、大学は1月中旬までだ。このまま4月の始業まで冬休みが延長される可能性がある。

平壌にある大学では「自家生(自宅から通学する学生)は家で休み、地方出身の学生は帰郷せずに寄宿舎で生活せよ」との命令が下された。「平壌から出ていくな」ということだが、平壌で発生していると伝えられている新型コロナウイルスによる肺炎を他の地方に広げないための措置とも言えよう。

(参考記事:北朝鮮が極秘集計「新型コロナで死者32人、隔離82人」

実際、全国的な移動統制も実施された。

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江原道(カンウォンド)のデイリーNK内部情報筋は、全国の保安署(警察署)の2部は、他地方に行くのに必要な旅行証や出張証明書の審査を強化したと伝えた。国の公務でない限りは旅行証、出生証明書を発行しておらず、国営の工場、企業所の資材確保のための出張でも「ウイルスが収まってから行け」と許可しない。

また、ソビ車(民間の輸送車両)に対する取り締まりも始まった。保衛部(秘密警察)が管轄する10号哨所(検問所)のみならず、保安署が臨時哨所を設置して、通過する車両を取り締まっている。

中でも、国境に面した地域と他の地方との行き来を厳しく取り締まっている。外国から帰国して検疫証明書を所持していない者やタルリギ(遠くから品物を取り寄せる卸売業者)は一切通過させない。

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江原道では、金正恩党委員長が旗振り役となり進められている巨大高級リゾート「「元山葛麻(ウォンサン・カルマ)海岸観光地区」の工事が進められており、各地から数多くの突撃隊員(半強制のボランティア建設労働者)が集められている。

(参考記事:金正恩氏が指導する「7000人死亡リゾート」の過酷な毎日

そのため、他の地方と比べて人や物の行き来が激しく、移動を完全にストップさせるのは難しいが、二重三重の検問を行って、移動を難しくしている。また、突撃隊員の帰郷も不許可となっている。

検問をかいくぐって出入りする人を取り締まるために、コンテナトラックやバスのトランクに対しても、厳しく検査を行っているが、「一部の列車やソビ車、タクシーなどは回り道をして巧妙に取り締まりを避ける」(情報筋)など、取り締まりは完璧と言えない。ドライバーは、ウイルス感染ではなく、自分の身分がバレないようにマスクを着用しているという。