北朝鮮軍を蝕む女性兵士への「マダラス」と呼ばれる性上納強要

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北朝鮮で兵役忌避の動きが拡大していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

従来、多額のワイロを要する兵器忌避は、権力のある党や行政機関の幹部や、財力のあるトンジュ(金主=新興富裕層)らが主役だった。ところが最近では、庶民の間でもどうにか子どもを軍隊に送るまいとする傾向が強まっているという。

両江道(リャンガンド)の消息筋はRFAに対し「最近、若者たちの間で兵役を忌避する傾向が日増しに強まっている。自分が通う学校や病院、軍事動員部の幹部に高額のワイロを渡し、兵役リストから除外してもらっている」と証言している。

「軍事動員部の幹部に中国人民元で5万元ほど払えば、最初から兵役リストに載せられずに済む。兵役の時期が近い子を持つ親たちは、その前年から、関係機関の幹部を訪ね歩き、ワイロをつかませ兵役から外してもらおうと必死だ。

以前なら、親たちも『子どもが軍隊に行くこと自体は仕方がない』と諦め、『せめて辛い目に遭わずに済むように』と、条件が劣悪な部隊に配属されないようワイロを配るのが関の山だった。ところが最近では、子どもを『ぜったいに軍隊へ送らない』とする意識が強い」(消息筋)

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それではなぜ、北朝鮮の親たちは子どもを軍隊に送るまいとしているのか。その理由についてRFAは言及していないが、推察するのは容易だ。

まず、北朝鮮の軍隊内では食糧不足による飢えや上官からの虐待が横行している。特に女性兵士たちは、上官から「マダラス」などと呼ばれる性上納を強要されることが多い。そのような現実を知る親たちが、子どもを軍隊に近づけまいとするのは当然のことだ。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

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そして次に、男性で10年、女性で7年という、世界に比類なき兵役期間の長さがある。

昔なら、兵役を経て朝鮮労働党に入党すれば、除隊後にもそれなりの社会的地位を築ける可能性があった。しかし最近の北朝鮮は、何にせよカネ儲けにつながる能力を身につけなければ、生き延びることが難しくなっている。そうした能力を身につける上で、長期にわたる兵役はまったくの「時間のムダ」とみなされているのだろう。

ただ、北朝鮮の経済は、兵士らを「無償の建設(あるいは農業)労働者」として酷使することで成り立っている部分がある。兵役忌避の拡散は体制の根幹を揺るがしかねないものであり、いずれ金正恩党委員長が強硬な取り締まりに出ると思われる。