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中国では、女性が結婚相手を選ぶ条件として「不動産を所有しているか」を重視するのが一般的になっているという。不動産の売買が中国ほど活発でないお隣の北朝鮮では、さすがに不動産の所有が必須条件とまではいかないが、カネもコネもなく、「身分」も低い男性は、女性から相手にもされないようだ。

平壌のデイリーNK内部情報筋は、次のように嘆く。

「稼働が停まる工場が多く、月給をもらったところで1日の食費にしかならず、損な職場しかない男には全く価値がない」

北朝鮮の男性は、国の機関、国営企業などに配属され、そこを通じて食糧の配給や住宅の割り当てなどが受けられることになっている。しかし、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころからこれが機能しなくなった。もらえる月給はせいぜい5000北朝鮮ウォン(約65円)。これではコメ1キロを買うのがやっとだ。

商売をするために職場を辞めることも容易ではない。たとえ商売をしていても、職場に所属していないと無職扱いとなり、処罰の対象にされてしまう。上司にワイロを渡して出勤扱いにしてもらった上で商売するが、それでも政治的行事、思想教育など出席が求められることも多い。

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一方で女性は、職場に所属する義務はないことから自由が効き、商売に専念することができる。そうして一家の大黒柱は女性となり、家庭のみならず社会における地位も向上した。そんな状況で、配偶者選びの主導権が男性から女性に移った。

(参考記事:北朝鮮の家政婦たちは「夫の月給の30倍」を1カ月で稼ぐ

以前から、経済力のある女性の方が配偶者を選ぶケースが時々あったが、経済難が続いている現状で、そんな傾向がより強まっている。

能力のある女性は、仲人から紹介された男性の「成分」を厳しくチェックするという。 成分とは、すべての北朝鮮国民を5つの階層に分類し、優遇または差別するという事実上の身分制度だ。金日成時代ほどは重要視されなくなっているとはいえ、成分の悪い人は条件の良い職場への配属や軍隊への入隊、朝鮮労働党への入党、幹部への登用などの道が断たれている現実に変わりはない。

(参考記事:【徹底解説】北朝鮮の身分制度「出身成分」「社会成分」「階層」

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成分をごまかすため、家族の歴史を偽った場合には、死刑もありうるほどの厳しさだ。

(参考記事:北朝鮮の工場支配人、身分を偽っただけで公開処刑される

結婚相手の成分を見極めることは、北朝鮮社会で生き残る上において欠かせないことで、費用をかけてでも調査を行う。一種の「投資」である。

また、女性が結婚相手の男性に、スマートフォン、バイクなどを買い与えることも一種の投資だ。情報を得る手段や自らの交通手段を持つことは、よりよい職業への近道であり、それは女性が行っている商売のさらなる繁盛にもつながる。また、持ち物で人間が値踏みされる社会風土も関係しているだろう。大学卒業後に良い職場に配属されるために必要なワイロも、女性が支払う場合があるという。

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このような傾向は20〜30代の若い女性の間で顕著だという。より年長の女性らは、甲斐性なしの夫の顔を立てるふりをして自分は我慢するというのが一般的だったが、今は違うということだ。

情報筋は、「豊かな家庭ほど女性の権力が強く、娘も母親を見習うので、強くなる」と説明した。

ただし、経済的地位が向上したとしても、男女平等が実現したわけでは決してない。例えば、女性は男性からの性暴力の危険に晒され続け、もし被害者となっても、「女性の落ち度」とされる空気はなお根強いのだ。

(参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」暴露された金正恩時代の性暴力