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朝鮮半島では昔から犬は食用として飼われてきた。韓国では、昨年の調査で約半数が犬肉の食用に反対するなど、犬肉を嫌う空気が高まりつつあるが、北朝鮮では重要な家畜の一つで、犬肉料理コンテストも開かれるほどだ。

(参考記事:本日、北朝鮮は「犬肉料理」の日…欧米の批判もどこ吹く風

そんな北朝鮮では、越冬準備を行う今頃の季節になると、当局から「犬の毛皮を納めよ」という「課題」が下される。つまりは供出命令だが、それが庶民の大きな負担になっていると、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

朝鮮社会主義女性同盟(女盟)は最近、地域の同盟員に対して犬の毛皮か、現金5万北朝鮮ウォン(約650円)を納めるように指示を下した。コメに換算すると約10キロ分なのでかなりの負担だ。だが、問題はこれにとどまらない。

金正日政権は、「忠誠の資金を集める」との名目で動物の毛皮を供出させるようになったが、その対象は朝鮮労働党員と学校の生徒に限られ、犬ではなくウサギの毛皮だった。ところが、今ではその対象が拡大し、一般住民にも犬の毛皮を納めることが強いられている。それも、所属する人民班(町内会)、職場の両方から求められていたのが、女盟まで加わり、三重の圧迫となっている。

また、現物で納められない場合に要求される現金も2万北朝鮮ウォン(約260円)だったのが、今では倍以上となり、最高で15万北朝鮮ウォン(約1950円)の負担を求められることになる。しかも、外貨で納めなければならない。

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三池淵(サムジヨン)郡の場合、60歳以下の女性に1人あたり3〜4枚の犬の毛皮か、またそれに相当する外貨を納めるように指示しており、他より負担が大きい。表向きは人民軍に越冬服を贈るということになっているが、実際は単なる外貨集めになっているということだ。そもそも、軍の一般兵士のところに本当に越冬服が届くかすらもわからない。

この手の「課題」としては、薬草、くず鉄、さらには毛虫を取ってこいというものもある。

(参考記事:北朝鮮の少年少女を苦しめる「気持ち悪い」冬休みの課題

一方、平壌では女性同盟員に対して「人民軍の兵士に鶏肉を食べさせる」という名目で、1人あたり8ドル(約870円)を出せと強いていると、現地の情報筋が伝えた。しかし、思うように集まっていないようで、締め切りが延長された。

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これも本来は、「自宅で鶏を育てて1羽出せ」というものだったが、平壌では鶏を育てるのが難しいため、市場での鶏1羽分のカネを払えというもので、実際の目的は外貨集めにあると考えられる。

女性に対してこのような課題が頻繁に下されるのは、男性よりも女性がカネを持っているからだ。男性はすべて国から割り当てられた職場に所属する義務があるが、女性にその必要はない。そのため、市場で自由に商売ができる。

国営企業でもらえる給料は、子どもの小遣い銭程度の額だが、市場で働ければそれなりの収入が得られる。それで、女性がターゲットとされるわけだが、おりからの制裁不況で商売はうまくいっておらず、課題を達成するには、とても苦しい思いをすることになる。

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(参考記事:妻に優しくなった北朝鮮の夫たち…亭主関白の末路は「餓死の恐怖」

課題を達成できたとしても、今後は年明け早々から「堆肥戦闘」、つまり、肥料にするための人糞を集める作業が待ち構えている。

(参考記事:北朝鮮「人糞が足りなければ刑務所行き」