「ドラッグと性びん乱の館」若者の暴走に手を焼く金正恩氏

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北朝鮮当局は最近、大都市で見られるようになった「トンゴジプ」なるものに頭を悩ませているという。

「トンゴジプ」は、日本語にすると「同居の家」という意味だ。つまりは一種のシェアハウスであり、10代から30代の若者が共同で部屋を借りて住んでいる。

そして中には、このシェアハウスで覚せい剤などの薬物を使用したり、アダルトビデオを見たりするなど「快楽を追求し堕落した生活を送る若者もいる」(情報筋)という。

(参考記事:「男女関係に良いから」市民の8割が覚せい剤を使う北朝鮮の末期症状

薬物の乱用やアダルトビデオの視聴は以前からある問題だが、北朝鮮の年配の世代からすると結婚前の男女が一緒に住むことそのものが、衝撃的なことのようだ。

(参考記事:北朝鮮で少年少女の「薬物中毒」「性びん乱」の大スキャンダル

だが、北朝鮮の若者がこうしたライフスタイルを求めるようになったのは、それなりの背景がある。

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北朝鮮において、結婚は長らく、愛する男女が結ばれ家庭を築く、喜ばしいものだった。また、娯楽が少なく、抑圧的な監視社会の北朝鮮では、家族との団らんが大切にされてきた。しかしそれも、国家の計画経済や配給制度が機能し、社会情勢がある程度安定していた中でのものだ。

1990年代の大飢饉「苦難の行軍」によって配給制度は崩壊し、人々は市場での商売で生計を立てるようになった。商売をするには身軽な方が良い。そのため今どきの北朝鮮の若者にとって結婚は、「個人の自由を奪う不幸の始まり」となってしまったのだ。

そうして増え始めたのが「同棲」だ。結婚して一緒に暮らしてみたものの、性格やライフスタイルの不一致に気づき離婚しようにも、同国ではそう簡単にはいかない。

北朝鮮当局は離婚を害悪と見て、裁判離婚のみを認めている。「社会と革命を利する場合のみ容認する」と非常に厳しい条件をつけているため、そもそも婚姻届を出さず「事実婚」の形をとる若いカップルが増えているのだ。

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晩婚化、少子化はすでに北朝鮮でも社会問題となっており、業を煮やした当局は対策に乗り出した。

現地の情報筋によると、党中央(朝鮮労働党中央委員会)はこうした現象を「青年たちの思想の緩み」とみて、「西側式文化を根絶させよ」との指示を下した。

「社会主義を建設していた一部の国では、経済建設にのみ偏り、青年教養事業に力を入れなかったため、西側式自由主義に染まった青年たちが社会主義制度を倒す先頭に立った」と指示文では述べられている。

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指示に基づき、金日成・金正日主義青年同盟は「腐敗と堕落のくぼみに落ちた青年たちの問題を正し、革命的首領観を国風に発展させることについて」というテーマで話し合いを行っているという。

また、保安署(警察署)や保衛部(秘密警察)などの司法機関は、韓流取り締まり班の109常務を動員し「トンゴジプ」を急襲、抜き打ちで家宅捜索を行うなどの取り締まりを行っている。

だが、もはや手遅れだろうと情報筋は見ている。いくら強権を発動しても、変化の始まった人々の意識までには、国家は介入できない。こうした若者が北朝鮮社会の主流を占めるようになるとき、かの国にも何らかの大きな変動が訪れるかもしれない。

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち