北朝鮮のカジノホテル、中国からの抗議で工事中断

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北朝鮮が、中国との国境に面した平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)で建設中だった30階建てホテルの工事が中断された。この話を巡って、「あの人物」の存在が取り沙汰されている。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、現地の情報筋の話として、このホテルは今年の春に着工、骨組みが20階まで組み上がった時点で突然工事が中断されたと報じた。

国境の鴨緑江を挟んで向かい合う中国の丹東のマンションの15階以上から見ると、ホテルの建物の一部が見えるという。これは、鴨緑江の川べりではなく、そこから1キロほど離れた市内中心部で工事が行われていることを示す。

工事中断の理由はカジノだ。

このホテルには大規模なカジノが併設されると伝えられているが、それを知った中国政府が異議を唱え、工事が中断したという。

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「自国民のギャンブルに頭を痛めている中国政府の立場からすると、丹東から川さえ渡ればすぐのところにカジノを作られるのは認めがたいことだろう。毎年、中国人が天文学的なカネを海外でのギャンブルで無駄にしていることを考えると、中国政府が問題視するのは当然のこと」(情報筋)

北朝鮮のカジノと言えば、エンペラーホテルが知られている。これは、香港のエンペラーグループが2000年7月に、北朝鮮北東部の羅先(ラソン)経済特区にオープンさせたものだ。ところが、ここに中国の高官が入り浸っていることが大問題となった。

吉林省延辺朝鮮族自治州の蔡豪文交通運輸管理処長が、このホテルのカジノで、21回に分けて公金318万5500元(当時のレートで約4100万円)をすってしまったことが明らかになり、蔡処長は裁判で懲役17年の判決を受けた。カジノは中国政府の要求で閉鎖に追い込まれた。中国政府としては、自国の目と鼻の先にカジノを作られてはたまらないのだ。

(参考記事:「外国人相手の売春は銃殺」正恩氏指示で北朝鮮のフーゾク大打撃

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金正恩氏は最近、新義州を訪れ開発計画に関する現地指導を行ったが、その直後に中国の横槍でカジノホテルの建設が中断し、冷水を浴びせかけられた形となった。

一方、ホテルを巡ってはある人物の名前が取り沙汰されている。楊斌(ヤン・ビン)氏だ。

オランダ国籍の華僑の彼は、花卉(かき)ビジネスで財を成し、2002年9月には北朝鮮が新設した経済特区、新義州特別行政区の行政長官に任命された。しかし、本格始動を前にして中国当局は彼を脱税容疑などで逮捕、裁判で懲役18年の判決を下した。

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当時、彼が逮捕されたのは新義州でのカジノの運営に手を出そうとしたからという噂が立ったが、それから20年近く経ってもこの噂は根強く残り、今回のホテル建設にも彼が絡んでいるとの噂が立っていると、現地の別の情報筋が伝えた。

満期出所を待たねばならないとしたら、彼はまだ獄中にいるはずだが、既に釈放されたとの情報もある。

台湾の国民党の金庫番だったと言われている劉泰英氏は今年6月、台湾の東森テレビの番組で、今年5月に北京で2回楊斌氏に会い、新義州の共同開発を持ちかけられたと主張した。劉氏は、金正恩氏が行政長官に楊斌氏を再任命したとも主張した。一方、蘋果日報は今年10月、楊斌氏と劉泰英氏が台北市内のレストランで食事をしたときに撮影されたとする画像を公開している。