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日本の民主党連立政権が掲げる「高等学校無償化法案」が、3月16日の衆議院本会議で与党と公明、共産両党などの賛成多数で可決(自民党と「みんなの党」は反対)、参議院の審議裁決を経て4月1日から実施の見通しとなった。

この高校無償化法案は、公立校では授業料を徴収せず、私立校は世帯の所得に応じて就学支援金(年11万8800円〜23万7600円)を支給する内容となっている。

この法案を巡り朝鮮学校を対象とするか否かで賛反論議が沸騰した。その結果「朝鮮学校」の扱いについては先送りされ、法案成立後に「第三者委員会」(有識者委員会)の審議を経て是非を判断することとなった。

朝鮮学校無償化問題が争点として浮上したのは、中井洽(なかい・ひろし)拉致問題担当相が2月20日に、「拉致問題」に絡め朝鮮学校を対象から外すよう川端達夫文部科学相に要請したことがキッカケだ。

これに対して川端達夫(かわばた・たつお)文部科学相は23日の記者会見で「外交上の配慮、教育の中身のことが判断の材料になるのではないと(中井担当相に)はっきり垂オ上げた」と発言。29日午前の記者会見では、高校授業料の無償化の対象に朝鮮学校を含めるかどうかについて、「(朝鮮学校は)分類として言えば対象だが、省令でどうするかは、これからの議論だ」と述べ、3月末までに慎重に検討する考えを示した。

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こうした動きに対して朝鮮総連側は「高校無償化からの除外は不当な民族的差別」と猛烈に反発した。朝鮮総連離れと財政難によって生徒数が6500名前後にまで激減し危機に瀕している「朝鮮学校」にとって、今回の「高等学校無償化」の適用いかんはきわめて重要な問題であるからだ。一部日本の政党やマスコミ、弁護士なども朝鮮学校側の動きに同調している。

1、朝鮮学校教育の問題点

2月25日、朝鮮学校側は衆議院議員会館において「産経新聞」を排除した上で記者会見を持った。しかしそこで行った「東京朝鮮学園」(東京での朝鮮学校運営法人)金・スノン理事長による朝鮮学校教育についての説明は、高校無償化の適用を受けるうえできわめて曖昧かつ不透明で問題の多い内容であった。

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問題の第一点は教育目標である。

金・スノン理事長は朝鮮学校の教育目標について「朝鮮学校が民族的自覚と現代社会の要求に基づく資質を養い、国際社会と地域社会の発展に貢献する人材を育成する」と述べた。

しかしこれは朝鮮学校の教育目標を日本国民の反発を受けないよう欺瞞的に説明したものである。
朝鮮学校の教育目標については2000年12月に朝鮮総連の許宗萬責任副議長が、朝鮮大学校評議会(朝鮮大学校の最高決定機関)で、次のように明らかにしている。

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「敬愛する(金正日)将軍様は、1994年5月6日のお言葉で『朝鮮大学校では学生を政治思想的にしっかりと準備させることに中心を置き、大学期間にチュチェ(主体)の世界観、首領観(注°燗?ャ・金正日を崇拝すること)、民族観を人生観化した革命家、確固とした青年の中核をしっかりと育てなければならない』とおっしゃった。朝鮮大学は本質において在日朝鮮人運動の代、愛国の代を継ぐチュチェ型の青年中核を育てる源泉地である」(「朝鮮大学校評議会で行った総連中央許宗萬責任副議長同志の指導」より)

この許宗萬責任副議長の発言が朝鮮学校の真の教育目標である。金・スノン理事長の説明は対外向けの教育目標なのだ。もちろん初級中級学校段階では、朝鮮大学校のような露骨な形は取っていない。しかし高級(高等)学校までの教員はすべて朝鮮大学校出身者である。

「チュチェ型の青年中核を育てる源泉地」から巣立った教員がどのような指導を行なっているかは「おして図るべし」であろう。なお朝鮮大学校はそのカリュキュラムを公開していない。また金・スノン理事長のいう「民族」とは「金日成民族」とされるものであって一般的な意味での「朝鮮民族」ではない。

問題の第二点はその教科内容である。

金・スノン理事長は「朝鮮高級学校が日本高等学校と同等な教育課程を実施している」と主張した。しかしどのような内容で実施しているかはすべて明らかにしなかった。

朝鮮学校では日本の高等学校にはない科目がある。それは週2時間金日成、金正日崇拝を教え込む「現代朝鮮革命史」(対外的には「朝鮮現代史」となっている)と、同じく週2時間当てられている「社会」である。

この「社会」は、高2で資本主義制度を紹介しながらそれを批判する内容、高3では主体思想と主体思想の世界観を教え、金父子と北朝鮮を賞賛する内容となっている。「朝鮮史」は高3の科目であるが、この科目も近代部分は北朝鮮の思想教育と結びついている。

この三科目をあわせると、高3では全科目週30時間の内、実に7時間(23%)が思想教育もしくはそれに準じる内容である。もちろんすべての教科書は北朝鮮政府が検閲し最終決定している。

こうしたことを曖昧にしたまま、朝鮮学校が日本の高校と同じ教育を行なっていると主張するのは欺瞞以外の何物でもない。

自分たちの教育が正常な「民族教育」と主張するならば全教科書を開示して堂々と主張すべきだ。だが朝鮮学校側は教科書の提示さえ拒んでいる。

問題の第三点は政治的課外活動である。

朝鮮学校の思想教育で中心をなすのは、教科内容よりも課外における政治教育である。この点については全く説明されなかった。

この課外活動について朝鮮総連の許宗萬責任副議長は「朝高(注:朝鮮高校)では中核学生(注:熱誠班)をうまく育て、彼らに依拠して教養事業を展開している。大学でも中核をしっかりと育て彼らに依拠して教養事業を展開しなければならない」と指導した(「朝鮮大学校評議会で行った総連中央許宗萬責任副議長同志の指導」)。

朝鮮学校では、高校からはすべての生徒が朝鮮総連傘下の政治団体である「在日本朝鮮青年同盟(朝青)」に加入する。その中から朝鮮総連幹部子弟や、金日成・金正日に忠実と思われる生徒を選び出し、非公然組織「学習組(現在は学習班)」の濫?g織である「熱誠班」に網羅するのであるが、そこに網羅された生徒たちが学校内「朝青」の役員に配置され全生徒を統率する。

この組織の指導は朝鮮総連から任命された責任指導員が行なっている。このような政治教育システムを備えた学校が、日本の高等学校と同じだとどうしていえるのか。

この「朝青」による金日成主義政治教育体系は、神経のような組織であるために外からはうかがい知ることができない。外からは、朝日新聞が指摘するように「大学を目指したり、スポーツに汗を流したり、将来を悩んだりする、日本の学校と変わらない若者たち」(2月24日社説)のように写るのである。

問題の第四点は、北朝鮮(朝鮮総連)が完全支配していることだ。

朝鮮学校側は今回の記者会見でも朝鮮総連色を薄めるために努力した。しかし朝鮮学校は朝鮮総連の柱となる組織であり、現在では朝鮮総連そのものといっても過言ではない。

朝鮮学校は北朝鮮政権の国会議員(許宗萬など)が直接指導している。朝鮮大学校学長も北朝鮮の国会議員である。そればかりか教員にも北朝鮮「労力英雄」の称号を与え(1月に西東京第二初級学校校長に授与)北朝鮮体制と直結させている。

また朝鮮学校教員の学位・学職・称号はすべて北朝鮮が授与し、「功勲教員」の称号なども与え北朝鮮がコントロールしている。北朝鮮の支配は教科書にまで及びすべての教科書は北朝鮮政権によって検閲されている。朝鮮学校の人事権も朝鮮総連を通じて北朝鮮政権が完全掌握している。

北朝鮮政権がこれほどまでに深く政治関与した教育であるにもかかわらず、朝鮮学校側はそのことにはふれず、恥ずかしげもなく「教育に政治を絡ませてはならない」と主張しているのである。これでは日本国民の理解は得られない。(続く)