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ロンドン駐在の太永浩(テ・ヨンホ)北朝鮮公使が、家族とともに韓国に亡命した背景には、子どもたちの将来への不安があったと言われている。

太公使一家は、オ・ソネ夫人と2男1女の5人家族。英国のデイリー・テレグラフによると、長男のジュヒョクさんは現在26歳。ハマースミス病院で公衆保健の学位を取得している。

デイリー・メールによると、一方の次男グムヒョクさんは現在19歳。ロンドン郊外のアクトン高校に通い、成績は最高級のAプラスで「秀才」と言われていた。世界最難関大学の一つと言われるインペリアル・カレッジ・ロンドンへの進学も決まっていた。

「カウンターストライク」を368時間

好きなミュージシャンはリンキン・パークとエミネム。好きなアニメはドラゴンボールGTで、趣味はゲームとネットサーフィン。

13歳の頃からFacebookに投稿していた。シューティングゲーム「カウンターストライク」を368時間もプレイした記録が残っており、韓国のネットゲーム「アーキエイジ」もプレイしていた。

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しかし、彼にはそれら全てに別れを告げる運命が待ち構えていた。父親に北朝鮮への帰国命令が出たのだ。

仮に父親が職務上のミスを犯していたとして、それが批判されれば、再度の出国はおろか、平壌で生活することすら許されず、極貧の山間地に追放される可能性すらあった。

「逃げよう」子どもが親を説得

デンマーク生まれでロンドン育ちのグムヒョク氏にとって、ネットも使えなければ、音楽も自由に聞けない北朝鮮での生活は、とても耐えられるものではないだろう。

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米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、子どもの問題は海外駐在の北朝鮮外交官の共通の悩みだと伝えている。

いくら親が言い聞かせても、外国の暮らし、価値観に触れた子どもたちは北朝鮮での暮らしに適応できなくなる。子どもが親に脱北することを迫るケースもあるという。

そういう意味で今回の脱北は、貧困や迫害から逃れるための脱北ではなく、子供の将来を考えての「移民型脱北」と言えるかもしれない。

精神病院行きも

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ある外国人観光客は、北朝鮮から中国に向かう列車の中で見かけた子どもの様子を次のように伝えている。

「列車で出会った瀋陽駐在の北朝鮮貿易関係者の家族。小学校低学年の娘はずっと押し黙っていたが、出国検査を終えて列車が国境の橋に差し掛かった時、急に『パパ、中国に帰ってきたよ!』と大はしゃぎし始めた。言葉は朝鮮語ではなく、中国語だった。その姿を見て、両親もニコニコしていた」

「子どもはインターナショナルスクールに通っているとのことだった。中国の自由で豊かな生活に慣れた子どもには、北朝鮮での数週間はさぞかし息の詰まるものだったのだろう」

他国に比べて決して自由とは言えない中国で育った子どもですら、北朝鮮での生活に拒絶感を持っていることを示すエピソードだ。

「見せしめ」の恐怖

外交官の中には、精神病院にワイロを払い、そうした子どもを入院させてしまうケースさえあるとされる。

子どもが友人たちに「外国は最高」などと吹聴すれば秘密警察に目をつけられ、家族全員が教化所(刑務所)送りになったり、見せしめで処刑されたりするおそれすらあるからだ。

英国で育った太行使の子どもたちとって、帰国はとてつもあにリスクをともなうものであったわけだ。