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北朝鮮当局は「わが国に新型コロナウイルス感染者は発生していない」と繰り返しているが、各地から新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19)と疑われる症状で亡くなる人が相次いでいるとの情報が寄せられている。そんな中、当局が感染者の極秘集計を行っている。

北朝鮮国内のデイリーNK高位情報筋は、政府の中央非常防疫指揮部が集計した結果、1月から今月25日までに、高熱、咳、呼吸困難の症状を示し、死亡した人が全国的に23人にのぼると述べた。

内訳は平壌7人、平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)と義州(ウィジュ)8人、龍川(リョンチョン)4人、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の羅先(ラソン)2人、黄海南道(ファンヘナムド)の海州(ヘジュ)2人だ。

このうち、黄海南道での死者発生については同一事案かは定かでないものの、両江道(リャンガンド)の金亨稷(キムヒョンジク)郡で14日に行われた新型コロナウイルスに関する緊急講演会で、地元の党委員長が「黄海道で感染者が出た」と触れている。

(参考記事:北朝鮮党幹部が遂に漏らした「新型ウイルス感染者が発生」

また、同様の症状で隔離されている人は82人に達する。内訳は平壌16人、新義州32人、龍川12人、羅先15人、海州7人だ。この数字には、退院した人も含まれているが、新たに報告される事例も続出しているとのことだ。

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平壌と海州を除く各地域は、中国と国境を接していることから中国から流入したものと思われる。また、平壌では中国で留学中だった学生から、海州では新義州で中国製品を買い付けていた商人から感染が広がったものと保健当局は見ている。

ただし、繰り返しになるが、北朝鮮当局は対外的には国内での新型コロナウイルスの感染者発生を認めていない。あくまでも「急性肺炎」という扱いだ。

(参考記事:高熱の患者をそのまま火葬…「新型コロナか」北朝鮮で疑念広がる

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「指揮部で地域別急性肺炎の死者と隔離措置者の管理状況を議論しつつも、新型コロナウイルス感染者はいないとの結論を下した。人民に感染者はいないと知らせて、徹底した防疫を継続すべきとの指針を下した」(高位情報筋)

このように北朝鮮が新型コロナウイルスの感染状況について徹底した箝口令を敷いているのは、事実を公開すると国内に動揺が広がり、体制が揺らぎかねないとの懸念によるものと思われる。

2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)2015年にMERS(中東呼吸器症候群)の感染が広がったとき、北朝鮮当局は国境を封鎖するなどの措置は取ったが、ウイルスの国内流入の有無、感染者の数などを含めて一切の情報を公開しなかった。

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北朝鮮が、世界保健機関(WHO)に感染者数を報告した唯一の事例が、2009年の新型インフルエンザだ。北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、新義州と平壌で感染者が9人発生したと報じた。また、その後さらに5人の感染が報告された。北朝鮮を訪問した外国人を通じて国内での感染拡大が知られて、隠し通せなくなったために報告したが、遅すぎるとして国際社会などからの批判にさらされた。

(参考記事:WHO「北朝鮮で新型インフルエンザ患者をさらに5人確認」