「見るだけで心が痛む」極貧の北朝鮮国民が迎えた残酷な新年

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「年が明けたけど、人々の生活は苦難の行軍のときと大して変わらない」

苦難の行軍とは、1990年代後半に北朝鮮を襲った未曾有の食糧難のことだが、国際社会の制裁による経済難が続く中、北朝鮮国民は新年から満足に食べられない環境下で、動員に苦しめられている。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、氷点下の寒さに襲われた今月4日から「新年の戦闘」が始まったが、綿入りの靴すら用意する余裕のない人々がほとんどで、中には穴が空いて足が見える靴を履いている人もいたと伝えた。気象ポータルサイトによると、この日午前9時の気温は氷点下12度だった。

靴下すらなく、布で足を巻いただけの人も多く、「見るだけで心が痛む」との声があちこちから聞こえたという。

(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

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人々が動員されているのは、毎年恒例の「堆肥戦闘」だ。不足する化学肥料を補う下肥を作るために、1人あたり何トンもの人糞を集めて、国に納めるという過酷な作業だ。

(参考記事:亡命兵士の腸を寄生虫だらけにした北朝鮮「堆肥戦闘」という名の地獄

明るい2020年の年明けとはとても言えない重苦しい状況の続く北朝鮮だが、程度は地域によってかなり異なる。

情報筋によると、首都・平壌では新年を祝う様々なイベントが行われている。平壌郊外の平安南道の平城(ピョンソン)や順川(スンチョン)、价川(ケチョン)など商業が発達している地域は、平壌ほどではないものの、経済状態はまだマシな方だ。

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一方で、陽徳(ヤンドク)、孟山(メンサン)、北倉(プクチャン)、寧遠(ニョンウォン)、檜倉(フェチャン)など山間部に住む人々の暮らしは、苦難の行軍のころとあまり変わらないような状態だ。

平安南道の山間部やその南にある黄海北道(ファンヘブクト)の遂安(スアン)、新渓(シンゲ)、谷山(コクサン)は、極端に貧しく、これまでの歴史で一度も上水道の恩恵を受けたことがないほどだ。地域によっては、水汲みの往復8キロものの道のりを行き来することになる。しかも、確保できるのは汚染された水だけだ。

また、山間部では新年を祝う料理すら食べられない状況だという。

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「平安南道の田舎のある村では、正月に肉の入ったスープにありつけた人は10人中4人ほどしかいなかった」(情報筋)

あとの人々は豆腐、豆もやし、卵を食べるのが精一杯だったという。金日成主席はかつて「人民が米のご飯に肉のスープを食べ、絹の服に瓦の家に住めるようにするべき」と言っていたが、2010年の正月に金正日総書記は「その遺言を達成できていない」と失敗を認めている。それから10年経ったが、肉の入ったスープが食べられない状況には変化がないということだ。

(参考記事:金正日氏「コメに肉のスープという父金日成氏の遺言を達成できていない」