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今月4日、脱北者10人が中国公安当局に逮捕され、北朝鮮への強制送還の危機にひんしていることはデイリーNKジャパンでも既報の通りだが、救援運動もむなしく、北朝鮮に強制送還されたと、英国BBC(韓国語版)が報じた。

脱北者を強制送還する中国政府の姿勢に対しては、北朝鮮の人権侵害を助長するものだとして、国際的な非難の声が高まりつつある。

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この事件は、韓国を目指して脱北し、中国の瀋陽に滞在していた脱北者10人が、4日に中国公安当局に逮捕されたというものだ。10人の中に、妻と息子がいるという韓国在住の脱北者、イ・テウォンさんは韓国SBSとのインタビューで「北朝鮮に強制送還されれば殺される、中国で毒を飲んで自殺したほうが人間らしい最期を迎えられるほどだ。韓国に無事来られるように助けてほしい」と韓国政府に救援を求めていた。

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ところが、イさんは先週初め、中国国内の脱北ブローカーから、今月17日に10人の身柄が中国から北朝鮮・新義州(シニジュ)の保衛部(秘密警察)に引き渡されたと聞かされた。

ブローカーは中国公安に確認を取ったとしていたが、内外で広く報道され、国際的な人権団体も中国政府に圧力をかけていたこともあり、イさんはこの話を信じようとしなかったという。

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ところが、妻の親戚から「会寧(フェリョン)の保衛部から、あなたの妻と子どもが移送されるとの通告があった」と聞かされ、事実を受け入れたという。「妻と子どもは、裁判を受けることなく、政治犯収容所送りになるだろう」とイさんは語った。

出稼ぎ目的の単純脱北なら、比較的軽い処罰で済まされることが多いが、今回は韓国を目指した脱北という政治的事件であるため、重罰は免れないと思われる。北朝鮮で「管理所」と呼ばれる政治犯収容所は、あらゆる形の人権侵害が横行する「地獄の一丁目」だ。

今後は「10人を救え」という国際世論が盛り上がることに賭けるしかないだろう。世界中の視線が注がれることになれば、北朝鮮当局も下手に手を出せないからだ。

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高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

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